カテゴリ:ディスクレビュー( 6 )

2018年 11月 03日
著作権切れジャズ音源の海外サイト「Classic Jazz On Line」が凄い
これ有名なんですかね?無料で聴ける著作権切れジャズ音源の海外サイトを発見しました。

「Classic Jazz On Line」http://www.jazz-on-line.com/index.htm
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ネット上では、マイルス・デイビス、チャーリー・パーカー、カウント・ベイシー等モダンジャズやスイングジャズの音源サイトとして注目している方がおられるようですが、実はLouis Armstrong, King Oliver, Sidney Bechetなどトラッドジャズ(特に戦前のアーリー・ジャズ)が相当に充実していました。ブラウザでのストリーミング再生のほか、MP3形式でのダウンロードも可。音質はそこそこ良いです。

・使い方(日本語記事=Naverまとめ):
【フリー】Jazzパブリックドメイン曲を聴こう【MP3ダウンロード】

どれだけ深い沼なのか、まだ見えていませんが・・・さしあたり気づいた特徴は以下のとおり。

[1]演奏者名で検索できる。リーダー名だけでなくサイドマンの名前でもOKなのが嬉しい。検索結果が録音日順に出てくるのも嬉しい。

[2]曲名でも検索できる。例えば「Tea for two」で検索したところ、ヒット(一致)は60件と異様に多く(こちら)、かなりの網羅性が期待される。

[3]録音年でも検索できる。1916年で検索してヒットがあるのも驚き(ほぼジャズでない)。

[4]戦前のアーリージャズの音源、とくに1920-30年代のビッグバンドやスモールコンボが相当に充実している。Louis Armstrongの初期、King Oliver、Jerry Roll Mortonの音源は(完全ではないにしても)かなり揃う模様。知名度の低い音源も丹念に集めている印象であり、収蔵音源の充実度は、体感的にはYoutubeの20倍ぐらいか。

[5]これに対し、(日本のアマチュアバンド界隈で人気の)ニューオリンズ・リバイバル系の音源はほとんどない。「George Lewis」と「Bunk Johnson」が若干出てくる程度。とくにAmarican Musicレーベル等のニューオリンズのローカル音源はほぼ皆無であった。現在の発売元であるJazzologyレコードがクレームないしお願いを入れているのかもしれない(これを許したらJazzologyは潰れてしまうし)。
 例えば「Percy Humphrey」だとヒット0件なのに対し、兄の「Willie Humphrey」だと1926年や1936年のビッグバンド(知らなかった!)が30曲も出てきた。あの妖怪クラは若い頃からの芸風と判明。
 また「Louis Barbarin」だと1曲しかヒットしないのに対し、兄の「Paul Barbarin」は155曲、しかもKing Oliver band等の著名音源のほか「Blue Lu Barker With Danny Barker」(1938、1949)などという興味深い未聴音源がざくざくヒットした。Punch Millerの1920年代の録音は知ってたけど、Louis Cottrell (cl)の1936年のビッグバンド録音なんて誰も聴いたことないのでは?リバイバル系のファンにとってもこうした周辺領域の音源探索には有用とみられる。

[6]スマホでは使いづらそう。パソコンで立ち向かうのが正しい態度か。

[7]代表的なアーティスト(「Cab Calloway」など29人)については、流しっぱなしで聴くためのプレイリストが用意されている。トップページの「PLAYLIST」をクリックすると一覧が出てくる。アーティスト名をクリックするとm3uファイルがダウンロードされ、このm3uファイルを開くとストリーミングで再生される。再生中に曲名が表示されないのが残念。再生は小一時間で終わるので、当該アーティスト全曲ではなくサワリ程度である模様。


真骨頂はやはり上記[1]~[3]の検索機能でしょう。個人的には「Baby Dodds」で検索して出てくる1947年の一連の"This is jazz"ラジオ番組音源、「Sidney Catlett」で出てくる1940年代の各種スモールコンボなど、多数の未聴音源に驚くと共に、キレッキレのドラムプレイにうっひゃー・・・となりました。まさに人類の遺産!

他方、何から検索したらいいかわからない人は、まず上記[7]の「PLAYLIST」(=有名どころです)からランダムに聴いてみて、良いかなと思った演奏者名を「LISTEN & DOWNLOAD MP3」で検索し、さらに気になった共演者名をつてに検索して行くと良いかと思います。さしあたり「Louis Armstrong」での検索結果はこちら(773曲!)。

サイトは2001年から存在するそうで、収録は現在5万2千曲、毎日10曲ずつ聴いても14年かかる計算です。「アーリージャズの国会図書館」というべき充実度でしょう。これが自宅で無料で聴けて、ダウンロードもOKだなんて、恵まれた時代になったものです。古典通の新鋭バンドTuba Skinnyさんなどは、ネタ探しにこういうツールを使っているのかもしれません。これほど強力な無料アーリージャズ情報源が手元にあるとなれば、これからのニューオリンズジャズはアーリージャズ系とコンテンポラリー系とに二極化してゆき、味わい深いリバイバル系はますます先細りしてゆくのかな、とも思いました。


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by jazzboilers | 2018-11-03 12:16 | ディスクレビュー | Comments(0)
2018年 01月 28日
徳間Dan盤バンク・ジョンソン他、再生速度が遅かった模様(LP・CDとも)
これ常識ですかね?リバイバル系のニューオリンズジャズの手持ちの音源を、片っ端から鍵盤(愛機カシオトーン)と比べてみたところ、American Musicシリーズ日本盤(徳間Danレコード)の「バンク・ジョンソン1944」「ジョージ・ルイス」「キッド・ショッツ・マディソン」など一連の音源は、かなりの割合で音程(ピッチ)が本来よりも半音ほど低いこと、及びその原因がおそらく再生速度の遅さにあることに気がつきました。チューナーで調べるとカシオトーンの調律はやや高め(A=442Hz?)のようですがそれを考慮しても、このピッチの低さはまずいレベルでしょう。

「バンク・ジョンソンは変なキーでやっている?」「1944年当時の演奏は楽器の調律が異様に低い?」という話は聞いたことがある気がしますが、このピッチの異様な低さは「American Musicシリーズの徳間Dan盤」のみに生じているようであり、同じ奏者でも他レーベル(Decca, V-disc, RCA Victor等)の録音では一般的なキーやピッチで演奏しているようです。そうとすると、徳間Dan盤の再生速度の設定に、誤りがあったとみるのが合理的と考えざるを得ません。原盤のSPから採録した際の回転あわせが甘かった(SP側の回転が遅かった)ものと思われます(*注1)。

しかも、中には再生速度が適切な曲もあり、遅さ(音程の低さ)にも強弱があるため、1曲ずつ個別に検討する必要があります。驚いたことに、これは70年代に発売されたLP(*注2)だけでなく、90年代に再発されたCDにも引き継がれているようです。

市販のLPやCDの再生速度が狂っていたというのですから、ちょっとひどい話です。半音ものピッチずれは、演奏をコピーしようとする人にとっては顕著な障害だったのではないでしょうか。「バンク・ジョンソン独特の暗い音色が・・・」としばしば言われますが、それもこの再生速度の遅さに由来する部分が多々あったのではと思います。

これら徳間DanのLPやCDを今も大事に聴いている方、一度ぜひ、現在米国Jazzology等から出ている同じ音源(Apple Musicでサンプルが聴けます)と聴き比べてみて下さい。Jazzology等の音源は音程を基準に再生速度を調整しているようで、どの曲も一般的なキーで演奏されており、聴感も自然でした(ただし誤って半音低く調整されている曲もありました)。オリジナルのSP盤や10インチ盤のピッチは存じませんがこれも本質的情報ではなく、いずれにせよ録音物がドキュメンタリーである以上、その再生速度は、その曲が録音時に演奏されたであろう音程にピッチが合致するように、調整・決定されるべきでしょう(*注3)。

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例えば写真の徳間Dan日本盤CD「バンク・ジョンソン1944 Vol.3」(1998年徳間ジャパン、TKCB-71386)は、同シリーズでも屈指のエキサイティングな演奏集であり、スイング・ジャーナル誌ゴールドディスクにも選定されているようですが、録音のピッチはというと、1曲目のPanamaだけ正しいものの、2曲目以降の10曲は全滅(すべて半音ほど低い)!でした。曲によって低さに強弱がありました。

例:同2曲目「Walk through the streets of the city」一般的なキーはF
 [1] 徳間Dan日本盤CD。キーはE??(=通常ありえない)

 [2] Jazzology盤(Apple Music サンプル頁より)。キーは普通にFです


さて、デジタル化された音声データの再生速度は、パソコンを使って自分で修正することができます。ただし手間がかかるため、あくまで根性のある方向けです。貧乏性で根性のある私は適任と思われたため(笑)、フリーソフト2種(itunes, SoundEngine free)を使って修正しました。手順は概ね以下のとおり。

1. itunesを使って、CDから音声データをwav形式でパソコンにインポートする。
2. インポートした音声データをSoundEngine freeで1曲ずつ開き、鍵盤の音と比較しながら再生する。
3. もし音声データの音程が、一般的なキーによる音程よりも低ければ、音程タブの「時間伸縮」で再生時間(曲の全長)を少しずつ短縮することで、音程を上げてゆく。
4. 納得のいく音程になったところで、これを保存する。

再生時間を94~96%にすると大体半音上がって、変なキー(A、E、G等)から一般的なキー(Bb、F、Ab等)になります。再生時間を短くするほど、再生速度が上がることに相当するため、ピッチが高くなります。鍵盤の音に合わせてピッチを微調整する作業は、楽器の調律に似ています。ドラマーの私ですが箱ベースや箱バンジョーを作った経験から、調律だけは結構やってます。

SoundEngine freeを使った修正の手順については、こちらにヒントがありました。「音程タブの【時間伸縮】から編集してください。・・・再生速度に応じてキーも変更したい場合は半音とセントを0にして下さい。」というのがポイントです。音程だけ直してもダメなので(音程だけ上げるとテンポが遅いままになってしまう)、必ず再生時間で調整して下さい。

こうして再生速度をびっちり修正した音源を聴くと、当時のおじいちゃん奏者達が、思っていたよりも少しだけ速いテンポでキビキビと演奏していたことがわかり、軽く新鮮です。音質は徳間Dan修正版の方がベースのスラップ音(バチバチ音)が立っていて、Jazzology版(上記サンプルからの想像ですが)よりも良い気がします。修正に伴う音質劣化は、私の耳では特に認識できません。同様にして、カセットテープからデジタル化してあった他の手持ち音源を総点検し、不合格となったLP約30枚分の音源につき、ピッチを順次修正しました。こちらはピッチずれが更にひどくて、なにしろ当時(1980年代後半)の私はLP音源を、道で拾ってきたカセットデッキで録音しておりましたので・・・。以上、最初からJazzology発のデジタル音源を聴いている若い人には関係のない話でした。それ冒頭で書けよ、ってか。笑。

※2018.4.15追記:西荻窪「ミントンハウス」のマスター福元さんに質問したところ、「そうそう、(徳間Dan盤の回転は)速いんだっけ遅いんだっけ?あれは仕方ないんだよね、ウィリアム・ラッセルの家にデンスケを担いで録りに行ったんで」とのこと。さすが!通の方はお気づきだったのですね。

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*注1:徳間DanのAmerican Musicシリーズは、たしか監修者さんが現地ニューオリンズの原録音者William "Bill" Russell翁を訪ねて、ご本人立会いの下で、割れやすいアセテートのSP原盤から1曲ずつ採録したという労作ですが、採録にあたってRussell翁がバイオリンでピッチを1曲ずつ確かめた、ということでしたので、これを尊重・配慮・忖度してピッチを動かせなかった・・・といった事情があるのかもしれません。
*注2:当時の熱い意気込みが伝わる広告類はこちら (audio sharingさん)。徳間Dan版はLP・CDいずれも現在で言う「神テイク」が厳選されていて、音質も力感があり、ライナーノートも充実と、全体としては作り手の熱量が感じられる良心的な商品だと思います。中古盤が350円とかで投げ売りされてたら今でも断然「買い」でしょう。同じAmerican MusicシリーズでもJazzology版(CD・ダウンロード)は、資料的な性格が強いのか、だめなテイクが結構あり冗長気味、音質もノイズ処理のせいかビビッドな要素が不足していてカスカスであり、自分的には今ひとつ興奮できない印象です。
*注3:米国では1917年に現在と同様のA=440Hzの基準ピッチが制定されたものの、それ以前はむしろA=461Hzと高かったようであるため(こちらの記事)、時代考証的にも、音源のピッチを殊更に低く想定することには合理性がなさそうです。




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by jazzboilers | 2018-01-28 16:33 | ディスクレビュー | Comments(0)
2017年 08月 26日
Atlanticのポール・バーバリンに、高音質のステレオ版があった
米AtlanticレーベルのPaul Barbarin and his New Orleans jazz(1955年)というアルバムは、ニューオリンズ「リバイバル」ジャズの金字塔というべき素晴らしい1枚です。初期のルイ・アームストロング楽団にも所属した大御所ポール・バーバリン(ドラム)が、キャブ・キャロウェイ楽団等で活躍した名手ダニー・バーカー(バンジョー)とタッグした強力なリズムセクションに、当時の地元シーンでは衝撃の新人であったと思われる先代ジョン・ブルーニアス(トランペット、1920-1976)や、怪人ウイリー・ハンフリー(クラリネット)も加わって、猛烈なグルーブ感が聴きどころです。長年カウント・ベイシー楽団を支えたビッグネームであるミルト・ヒントン(ベース)もなぜか加わっていて、彼もニューオリンズの出身なんだそうです。この豪華なバンドは活動期間が短かったようで(2年ぐらいか)、アルバムはスタジオ録音2種とライブ録音1種(昼編と夜編)が残っているだけ。Atlantic版はスタジオ録音の1つです。

私も再発版のLP(1988年)を持っていて、まあ200回は聴きました。おそらく自分が今までで一番多く聴き返した録音です。が、この再発版LPはモノラル録音であり、音質は割れ気味で今一つでした。現在ではCDや配信でも再発されていますが、いずれもこの再発版LPと同様の音質のモノラル版です。Amazonの配信版はこちら(サンプルあり)。

ところが今般、このアルバムの1955年当時のステレオ版LPというのが、Youtubeに丸ごと上がっているのを発見。


特に詳しくない方が祖父の遺品としてアップしたようで、パチパチ音や針飛びがありますが、驚いたのは、単にステレオになっているというだけでなく、LP・CD・配信で再発されているモノラル版に比べて、音質が段違いに良いことです。低音域・高音域が充実していて音源の分離も良く、従来聴き取れなかったバスドラの響きや、トランペット(先代ジョン・ブルーニアス)の熱い音色、そして超人ダニー・バーカー(6弦バンジョー)のスーパープレイが、非常に繊細なタッチで聴けます。2曲目の"Eh, la bas"は別バージョンかも。

どういうこと??今まで聴いていた再発版は一体なんだったのか。この高音質ステレオ音源での再再発が待たれます。まあ当分無いと思いますので、自分はこのYoutubeの音源で楽しみますけど。ちなみにYoutubeのコメント欄によりますと、ポール・バーバリン自身が「自分のベストアルバムだ」と熱く語っていたそうです。是非聴いて下さい。


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by jazzboilers | 2017-08-26 10:27 | ディスクレビュー | Comments(0)
2016年 11月 25日
1929年のジャズブラスバンド、懸案の発掘動画がついにウェブ公開に
久々にMoving Image Research Collections(米サウスカロライナ大学図書館の動画アーカイブ)をチェックしたところ、いつのまにか追加されていた「1929年2月12日・マルディグラ(没テイク集)」という動画に、ニューオリンズの黒人ジャズブラスバンドがパレードする様子が1カットだけ写っていました(右の写真)。5:25-7:00です。

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従来、ジャズブラスバンドの録音は、1945年のBunk Johnson's brass band以前には全く存在しなかったものとされてきました。ところがこの動画はそれから更に16年も古い上、なんと映像つき!!という非常に衝撃的なものです。

約1分半の短いカットですが映像・音声共に鮮明で、臨場感が高いです。曲はWhoopin' bluesでしょうか。メンバーは判別できませんが、clはJohn Casimirかと思われます。スーザフォンはWilbert Tilmanでしょうか?バスドラムのおじさんがノリノリですね。レコーディングが存在する1945年(昭和20年)以降のニューオリンズのジャズブラスバンドの演奏スタイルが、この時点(昭和4年!)で既に完成していたことが判ります。

検索で見つけた書籍「Early Twentieth-Century Brass Idioms: Art, Jazz, and Other Popular Traditions」(2005/Howard T. Weiner 編/P.62)によりますと、「近年に発見された1929年マルディグラ当日のFox Movietoneニュース映画の一場面には、ズールー王の山車の前を行進する(おそらく)ユーレカ・ブラスバンドが、カメラが据えられたキャナル通りからベイズン通りへの角を曲がるところが写っている」とのことで、特徴が一致していますので、自分的に見たいとずっと思っていた「Eureka Brass Band in the Zulu Parade, Mardi Gras Day, Fox Movietone News (1929)」とはこの動画のようです。

謎に包まれた初期ニューオリンズジャズのブラスバンドの記録としては、別稿の1928年のものと並んで、世界で最も重要な1カットとみて良いでしょう。
なお4:04-4:40には、ココモジョーかと思われる例の少年の演奏が写っていました。

関連記事:
少年時代のココモジョーらしき動画フィルムが!/1928年のジャズブラスバンドも


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by jazzboilers | 2016-11-25 00:29 | ディスクレビュー | Comments(0)
2014年 05月 25日
少年時代のココモジョーらしき動画フィルムが!/1928年のジャズブラスバンドも
e0234219_8375929.jpgなんと、少年時代のココモジョー(Joseph "Cocomo Joe" Barthelemy, 1913-1990)らしき人物が箱ドラムを演奏している動画フィルム(音声入り)が発見されたとの情報です。記事(英文)はこちら、映像はこちらです。撮影は1928年(昭和3年!)のニューオリンズのとある公園、2人の少年が踊り、もう1人が空き缶と木箱でできた自作のドラムを演奏しています。詳細は箱ドラム頁にて。

このフィルムが発見されたアーカイブ(サウスカロライナ大学図書館Moving Image Research Collections)を軽く検索してみたところ、「1931年のマルディグラ(没テイク集)」という動画があり(こちら)、ごく断片的ではありますが、ジャズブラスバンドが演奏している様子が、やはり音声入りで記録されていました。曲はPanama rag(2:40-3:10)やSwanee river(川岸編4:23-6:31・街頭編6:31-7:22)です。演奏者がほとんど写っていないためメンバーの特定は困難ですが、私の知る限りジャズブラスバンドの録音は1945年のBunk Johnson's brass band以前には存在しなかったものであり、この動画はとんでもなく貴重と思われます。

e0234219_953639.jpgさらに、 別の動画「1928年のマルディグラ(没テイク集)」(こちら)にも、黒人のジャズブラスバンドが写っています(右の写真)。冒頭0:12-のブルース(Whoopin blues?)がなかなかファンキーで、とても昭和3年とは思えません。0:15-0:21でこちらを向くtpのお兄さんはKid Renaに似ている気もするし、cl(Eb管か)の絞り出すような音色はJohn Casimirに似ています。1:49-2:06の平板なマーチ(曲目不明)で聞こえるcl(これもEb管か)はGeorge Lewisではないでしょうか。同じ曲が8:31-では4ビートで演奏され、よくスウィングしています。

考えてみると、リバイバル期(1944年~)以前のニューオリンズジャズでも、コンボと違いブラスバンドは街頭演奏の機会が多いため、こうしたイベントがらみの動画記録が他にも残されている可能性が高そうです。したがって、米国での古いフィルムのデジタルアーカイブ化と公開が進めば、こうした発掘動画は今後も出てくるものと予想します。

6/1追記:さらに調べたところ、このFox Movietone Newsには「Eureka Brass Band in the Zulu Parade, Mardi Gras Day」(1929)というフィルムも存在するようですが(情報こちら)、ウェブ上にはアップロードされていないようでした。

関連記事:
1929年のジャズブラスバンド、懸案の動画がついにウェブ公開に


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by jazzboilers | 2014-05-25 08:17 | ディスクレビュー | Comments(0)
2011年 02月 26日
お化け屋敷の大運動会?「Kid Punch 1960」
e0234219_11235966.jpgドタバタ系ニューオリンズジャズならこの1枚!いい歳したおっさん達がめちゃめちゃ楽しそうに演奏してます。泥くさいです。下品で口数のやたらに多いトランペット、クラの定石を無視してモリモリと吹きまくるクラリネット、普段にないお調子者さを見せるバンジョー、高齢でよぼよぼのトロンボーン、何をやってるんだか良く分からないピアノ、荒々しく野太いベース、そして滑ったり転んだりしながらドタバタと盛り上げるドラム。プリザベーションホール開業(1961年)直前の時期に録られたこの元気一杯のセッションは、リバイバル後期の幕開けを告げる草の根系ニューオリンズジャズの最高傑作であり、ジャズボイラーズもこういうモチベーションの高い演奏を目指したいものです。

e0234219_1138830.jpgむかし古川奈都子さんが、Billie and De De Pierceらの傑作アルバム「Billie and De De Preservation Hall Jazz Band」を評して「運動会みたいなレコードだよねー」と言っておられ同感でしたが、この「Kid Punch 1960」は更に、なんというか妖怪っぽい要素(土俗的な“まがまがしさ”というか、無骨な愛嬌というか)が加わっていて、もうお化け屋敷の運動会みたいな賑やかさであり、自分的には超おすすめです!現在「Punch Miller 1960」(American Music Records, AMCD-52)の標題でCD化されていますので是非。

↓アフィリエイトじゃないんですがご参考に
Punch Miller 1960 (日amazonです)
サンプル音源あり(米amazonです)
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by jazzboilers | 2011-02-26 11:46 | ディスクレビュー | Comments(0)